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前立腺肥大症・前立腺炎とは

前立腺は男性だけにある臓器で、膀胱の出口で尿道を取り囲むように位置しています。前立腺肥大症は、この前立腺が大きくなることで尿道を圧迫し、排尿に支障をきたす病気です。前立腺炎は、前立腺に炎症が起こる病気で、若い方から高齢の方まで幅広い年代で見られます。
どちらも男性の生活の質(QOL)を大きく左右する病気です。「年のせいだから」と諦めている方も多いですが、適切な治療により症状の改善が期待できます。
このような症状があればご相談を
- 尿の勢いが弱くなった
- 排尿に時間がかかる
- 残尿感がある
- 夜間に何度もトイレに起きる
- 会陰部や下腹部の不快感
- 排尿時の痛みや違和感
- 尿が出なくなった(緊急受診が必要)
- など
前立腺肥大症・前立腺炎の種類
前立腺肥大症
加齢とともに前立腺が大きくなる良性の病気です。50歳を過ぎると約半数の男性に見られ、80歳では約8割の方に認められます。尿の勢いが弱くなる、残尿感があるなどの症状が特徴です。
急性前立腺炎
細菌感染により突然発症し、高熱や排尿時の激しい痛みを伴います。適切な抗菌薬による治療によって比較的早期に改善しますが、重症化すると入院治療が必要になることもあります。
慢性前立腺炎
会陰部(陰嚢と肛門の間)の不快感や排尿時の違和感が長期間続く病気です。原因がはっきりしないことも多く、患者様のお話をじっくり聞いて、お一人おひとりに合った治療を見つけることが重要です。
前立腺肥大症・前立腺炎の原因
前立腺肥大症の原因
男性ホルモンの影響により、加齢とともに前立腺が大きくなることが主な原因です。遺伝的要因や生活習慣も関係していると考えられています。
前立腺炎の原因
急性前立腺炎は、大腸菌などの細菌が尿道から前立腺に侵入することで起こります。慢性前立腺炎は、細菌感染のほか、ストレス、長時間の座位、冷えなども関与すると考えられています。
増悪因子
アルコール、香辛料、長時間の運転や自転車、便秘などが症状を悪化させることがあります。生活習慣の見直しも治療の一環として重要です。
前立腺肥大症・前立腺炎の検査や診断
問診
排尿状態を詳しくお聞きします。国際前立腺症状スコア(IPSS)という問診票を使用し、症状の程度を客観的に評価します。慢性前立腺炎では、痛みの場所や性状も重要な情報です。
直腸診
肛門から指を入れて前立腺の大きさや硬さを確認します。前立腺がんとの鑑別にも重要な検査です。
PSA検査
前立腺肥大症の患者様には必ずPSA検査を実施します。前立腺がんとの鑑別のため、良性であることを確認することが大切です。当院では「前立腺肥大症は良性であることを証明しなければならない」という考えで診療しています。
尿検査
感染の有無や血尿を確認します。前立腺炎では、前立腺マッサージ後の尿を調べることもあります。
超音波検査(エコー検査)
前立腺の大きさや形、残尿量を測定します。排尿後の膀胱に尿が残っていないか確認することは、治療方針の決定に重要です。
前立腺肥大症・前立腺炎が認められたら
重症度の評価
症状の程度、残尿量、腎機能への影響などを総合的に評価し、治療方針を決定します。軽症の場合は経過観察することもあります。
がんの除外
PSA値が高い場合や、直腸診で異常がある場合は、前立腺がんの可能性を考慮してさらなる検査が必要です。
前立腺肥大症・前立腺炎の治療
薬物療法(前立腺肥大症)
前立腺を小さくする薬や、尿道の緊張を和らげる薬を使用します。症状や前立腺の大きさに応じて、適切な薬剤を選択します。副作用についても詳しく説明し、安心して治療を受けていただけるよう配慮します。
薬物療法(前立腺炎)
急性前立腺炎には抗菌薬を使用します。慢性前立腺炎では、抗菌薬のほか、漢方薬や筋弛緩薬なども使用します。「これを飲めば必ず良くなる」という薬がないことも多く、患者様と相談しながら最適な治療を探していきます。
生活指導
アルコールや刺激物を控える、規則正しい排尿習慣、適度な運動、骨盤底筋体操など、日常生活の改善も重要です。
自己導尿
前立腺肥大症が進行すると、尿が出にくくなり、膀胱に大量の尿が残ることがあります。残尿が多いと腎機能に影響を与えたり、尿路感染症を繰り返したりします。そのため薬物療法で改善しない場合に、また手術までの期間に自己導尿を実施するという選択肢があります。
ご自身で尿道から細い管を入れて排尿する方法で、1日数回行うことで膀胱への負担を軽減できます。
手術療法
薬物療法で改善しない場合や、尿閉(尿が全く出ない状態)を繰り返す場合は、手術が必要になることがあります。適切なタイミングで専門機関をご紹介します。
当院での診療について

前立腺の病気は男性にとってデリケートな問題ですが、多くの方が悩んでいる身近な病気です。大阪市生野区のりょう泌尿器科内科クリニックでは、前立腺肥大症の患者様全員にPSA検査を実施し、前立腺がんを見逃さない診療を心がけています。
特に慢性前立腺炎は、薬だけでは改善しないことも多く、患者様のお話をしっかりと聞くことを大切にしています。「どのような時に症状が出るか?」「何をすると楽になるか?」などをお伺いし、一緒に最適な治療方法を探していきます。
症状があっても受診をためらう方が多いですが、早期の治療によりQOLは大きく改善します。プライバシーに配慮した診療環境で、安心して受診していただけます。